2025年、阪神・淡路大震災から30年という節目の年に開催された「防犯防災総合展2025」。この重要な展示会を主催する事務局の柏原さんに、イベントにかける思いと、今年の注目ポイントを伺いました。
防犯防災総合展とは?

「まず、貴社と防犯防災総合展について教えていただけますでしょうか?」

「私はテレビ大阪のグループ会社で展示会の企画運営を担当しており、この防犯防災総合展の事務局を務めています。年間を通して様々な展示会を手がけていますが、防災を専門に扱っているのはこの展示会が年に一度です。同時開催の介護・福祉の展示会との兼ね合いもあり、この時期に開催しています。2013年に第1回を開催して以来、毎年開催を継続しております。」
出展企業にみる防災への熱意

「出展されている企業の特徴はありますか?」

「防災分野の専業ではないものの、元々お持ちの技術やノウハウを活かして防災関連の製品開発に取り組まれている企業が多いのが特徴です。そういった企業にとっては、新製品をお披露目する貴重な機会となっています。一方で、本業との兼ね合いで継続的な出展が難しいケースもあり、産業として確立し続けていくことの難しさも感じています。当展示会は、出展者と来場者の双方に新たな機会を提供できる場でありたいと考えています。」

「出展企業からは、来場者の意見を製品開発に反映させる努力が感じられますか?」

「はい、それは強く感じます。企業の方々は、ご自身のノウハウと展示会に来られる来場者の皆様からのご意見を真摯に受け止め、より良い製品づくりに繋げていらっしゃいます。」
注目のテーマと多様なセッション

「今回の展示会で特に注目してほしいテーマやコーナーはありますか?」

「同時開催の介護福祉・バリアフリー展との連携もあり、『援護者の方々の防災を考えるコーナー』というエリアを設けています。高齢者や障がいのある方など、災害時に支援が必要な方々の防災に焦点を当てた展示をご覧いただけます。」

「最近注目されているAI技術についてはいかがでしょうか?展示会でもAIを活用した展示はありますか?」

「企画側としてAIを能動的なテーマにしたわけではありませんが、出展者様の中にはAIを活用した製品やサービスを出展されている方がいらっしゃいます。世の中の技術的な流れもあり、注目すべき点だと思いますので、ぜひご覧いただければと思います。」

「今回は多くのセッション(セミナー)が開催されると伺いました。内容について教えていただけますか?」

「阪神・淡路大震災から30年という節目にちなんで、兵庫県の方にお話しいただくセッションを企画しています。
また、これから夏に向けて時期的に重要となる熱中症対策に関する取り組みのお話なども予定しています。
防犯関連を含め、3日間で約40の多彩なセッションをご用意しています。
来場者様からもセミナーを聴きたいというご要望が多く、こうした機会を通じて一人でも多くの方にご来場いただければと考えております。
展示物を見るだけでなく、研究発表や情報収集の場としても活用していただきたいです。」

「セッションのテーマや講師はどのように選定されているのですか?」

「毎年、開催準備を始める段階で社内でテーマ出しを行い、過去にお付き合いのある講師の方々からのご紹介なども含め、新しい講師の方を探し、セミナーのテーマを具体化していきます。過去からの繋がりやご縁で、多くの方々にお越しいただけていると感じています。」

「阪神・淡路大震災30年というテーマは、出展企業の方々にも意識されている点でしょうか?」

「はい、出展されている企業様それぞれに災害との関わりや特別な思いがあると思います。様々な形で、その思いを持って展示会にご参加いただいていると感じています。」
日本の防災と未来への展望

「日本は大規模な災害を経験しており、ある意味で防災の先進国と言えるかもしれません。海外からの注目度や、主催者として感じられる日本の防災分野の『進んでいる点』はありますか?」

「私自身、海外の状況を詳細に把握しているわけではないので何とも言えませんが、阪神・淡路大震災をはじめ、多くの災害を経験してきた日本だからこそ、そこから学び、経験を活かして進歩してきた部分は確実にあると思います。海外、例えばイタリアや台湾などが日本の防災をロールモデルとして注目しているという話もあり、今後も国際的に注目される分野であると考えています。」

「今後の展示会の方向性やテーマについて、現時点で考えられていることはありますか?」

「詳細なテーマは今年の開催を終えてから具体的に検討しますが、災害も犯罪もいつ起こるかわからないものです。展示会を継続することで、皆様がそうした事態に備え、意識を高める**『きっかけ』**を提供できればと考えています。注意喚起や啓蒙活動という側面も、展示会の重要な役割だと認識しています。」
防災士との連携に期待

「防災分野には『防災士』という資格がありますが、ご存知でしょうか?」

「はい、私自身は資格を持っていませんが、『防災士』という存在があることは認識しています。」

「資格をお持ちでない立場から見て、『防災士』とはどのような存在だとイメージされますか?」

「資格をお持ちの方がいらっしゃることで、周囲の方々が災害時にどのように行動すれば良いかを知ることができたり、自助や共助の重要性について考えるきっかけになったりする存在だと思います。まさに、地域や人との繋がりを強める上で重要な役割を担われている方々というイメージです。」

「防災士の方々に、この展示会をどのように活用してほしいと思われますか?期待することはありますか?」

「当展示会の大きな柱は、セミナーと企業・団体様の展示です。防災士の方々には、セミナーを通じて最新の情報を入手していただいたり、展示を見て最新の製品や、以前見た製品がどのようにブラッシュアップされたかなどを知っていただいたりすることで、ご自身の知識や活動のアップデートに役立てていただけると嬉しいです。企業・団体様も常に良いものを作ろうと努力されていますので、新しい発見の場として活用していただきたいです。」

「防災士が製品のレビューや試験などに関わる機会について、企業からの要望などはありますか?」

「防災士の方々に限定した形でそうした要望を聞く機会は少ないですが、そういったニーズは少なからずあると思います。展示会としては、様々な企業様が出展し、新しいものを展示することで、防災士の方々をはじめ、広く皆様に製品を見ていただく機会を提供できればと考えています。」
来場者・メディアへのメッセージ

「最後に、来場者やメディアの方へのメッセージをお願いします。取材などでブースを撮影する際の注意点はありますか?」

「ブースでの撮影については、必ず事前に出展者の方に許可を取っていただくようお願いしております。開発中の製品など、現時点での露出を控えているケースもございますので、ご理解とご協力をお願いいたします。」

「ありがとうございます。出展者の皆様は、防災に対して非常に熱意を持って参加されていると感じますか?」

「はい、そのように感じます。特に阪神・淡路大震災を経験され、その思いを胸に製品開発に取り組まれている方もいらっしゃいます。来場者の皆様の反応も良く、防災への関心の高さを感じています。」
まとめ
柏原さんへのインタビューを通じて、防犯防災総合展が単なる製品展示の場ではなく、最新情報の共有、経験の継承、そして何よりも来るべき災害への「意識付け」を促す重要な役割を担っていることが分かりました。
特に阪神・淡路大震災30年という節目に、過去の教訓を活かし、高齢者や障がいのある方を含めたあらゆる人々が安心して暮らせる社会を目指すという強いメッセージが感じられました。多くの出展者や関係者の熱意に支えられたこの展示会が、今後の防災対策の推進に貢献していくことに期待が寄せられます。
防犯防災総合展は、私たちが未来を守るための「きっかけ」を与えてくれる、かけがえのない場となるでしょう。
【イベントレポート】防犯防災総合展2025 主催者インタビュー
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